近年のインバウンドの盛り上がりもあり、訪日観光客向けのビジネスを始められる方も増えてきました。
その中でも報酬をもらって交通機関や宿泊施設の手配をしたり、ツアーを企画し募集する場合には、旅行業法に基づく登録をしなければいけません。
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旅行業の登録が必要な場合
旅行業法では、どういった事業であれば旅行業に該当するのか、決められています。
以下に該当するのであれば「旅行業」となり、登録が必要です。
1、報酬を得ていること。
一定の行為(旅行業務)を行うことにより、経済的な収入や利益を得ることをいいます。
2、事業であること。
一定の行為(旅行業務)を継続的・計画的に行うことをいいます。
具体的に言うと、旅行の手配を行うと宣伝や営業活動をしたり、旅行業務を行う内容の看板を出したりすることです。
3、一定の行為(旅行業務)を行うこと。
このような行為が旅行業務に該当します。
- 旅行に必要な運送手段や宿泊施設を契約すること。(旅行者の代理や取次として交通機関やバス会社等、宿泊施設等と契約をすることも含まれます。)
- 交通機関や宿泊以外の必要なサービスを契約すること。
- 渡航手続きの代行や、旅行者の案内をすること。
- 旅行日程を作成したり、旅行費用の見積もりを出すなど、旅行に関する相談に応じること。
以上に該当する事業であれば、旅行業登録が必要となります。
旅行業の種類
旅行のスケジュールを決め、必要な運送手段(交通機関やバスなど)やホテル等の予約をする、ということであれば、旅行業(1種、2種、3種、地域限定)の登録をします。
※その他「旅行業者代理業」「旅行サービス手配業(ランドオペレーター)」もありますが、業務内容が異なります。
詳しくは関連記事をご覧ください。
登録の種別と業務範囲
※1:催行区域(出発地、目的地、宿泊地、帰着地)が、営業所のある市町村等、これに隣接する市町村等、観光庁長官の定める区域内(拠点区域内)に限られます。
このように登録種別により、扱える業務が異なります。
旅行業登録の拒否事由
申請者が以下に該当する場合、旅行業登録ができません。
・旅行業・旅行業代理業・旅行サービス手配業の登録を取り消され、その取り消しの日から5年を経過していない者
・禁錮以上の刑または旅行業法違反による罰金刑に処せられ、その執行を終わった日または執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない者
・暴力団員等(暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者)
・申請前5年以内に旅行業務または旅行サービス手配業務に関し不正な行為をした者
・未成年で、その法定代理人が上記に該当する者
・心身の故障により旅行業務もしくは旅行業代理業を適正に遂行できない者として国交省令で定めるものまたは破産手続開始の決定を受け復権していない者
・法人であって、その役員のうちに上記に該当する者があるもの
・暴力団員等がその事業活動を支配するもの
・営業所ごとに旅行業務取扱管理者を確実に選任すると認められない者
・旅行業を営もうとする者であって、財産的基礎として、決められた基準資産額の条件に満たないもの
・旅行業者代理業を営もうとする者であって、その代理する旅行業を営むもの(所属旅行業者)が2以上あるもの
旅行業登録で必要なこと:旅行業務取扱管理者の選任
旅行業の登録をするうえで必ず必要なことがあります。
旅行業務取扱管理者の選任です。
営業所ごとに1名以上の旅行業取扱管理者を選任します。
旅行業取扱管理者は、他の営業所の旅行業取扱管理者を兼務することはできません。
ただし、地域限定旅行業者と地域限定旅行業者を所属旅行業者とする旅行業者代理業者で複数の営業所がある場合、営業所間の距離が合計40キロメートル以下であり、かつ複数の営業所の前事業年度の旅行業務に関する旅行者との取引額が1億円以下である場合、旅行業務取扱管理者は複数の営業所を通じてそれぞれ1名で足りる、と決められています。
旅行業務取扱管理者に必要なこと
1. 必要な試験に合格していること。
・海外旅行を取り扱う営業所:総合旅行業務取扱管理者試験合格者。
・日本全国の国内旅行のみを取り扱う営業所:総合旅行業取扱管理者試験、国内旅行業務取扱管理者試験いづれかの合格者。
・地域限定の国内旅行のみを取り扱う営業所: 総合旅行業取扱管理者試験、国内旅行業務取扱管理者試験、地域限定旅行業務取扱管理者試験いづれかの合格者。
2.以下に該当しない者
・旅行業・旅行業代理業・旅行サービス手配業の登録を取り消され、その取り消しの日から5年を経過していない者
・禁錮以上の刑または旅行業法違反による罰金刑に処せられ、その執行を終わった日または執行を受けることがなくなった日から5年を経過していない者
・暴力団員等(暴力団員または暴力団員でなくなった日から5年を経過していない者)
・申請前5年以内に旅行業務または旅行サービス手配業務に関し不正な行為をした者
・未成年で、その法定代理人が上記に該当する者
・心身の故障により旅行業務もしくは旅行業代理業を適正に遂行できない者として国交省令で定めるものまたは破産手続開始の決定を受け復権していない者
旅行業登録で必要なこと:基準資産額と営業保証金、弁済業務保証金分担額
1. 基準資産額
旅行業を営もうとするものは、下記の基準資産額の条件を満たしていないといけません。
- 第1種旅行業 ⇒ 3,000万円以上
- 第2種旅行業 ⇒ 700万円以上
- 第3種旅行業 ⇒ 300万円以上
- 地域限定旅行業 ⇒ 100万円以上
基準資産額の計算方法:総資産-創業費-営業権-負債ー営業保証金または弁済業務保証金分担額
2.営業保証金
旅行業者は、運送手段や宿泊施設といった他社のサービスを旅行者のために手配する事業であり、自社でバスやホテルといった資産を持つ必要はありません。
また旅行代金も前払いが一般的であり、団体旅行などの場合は旅行前に多額の代金を受け取ることもあります。
しかし、もし旅行前に旅行業者の経営が悪化し、ホテル等の手配がされないなどトラブルが生じた際、旅行会社に資産がなければ旅行代金の返金ができない、といった事態に陥る可能性が考えられます。
そこで旅行業法では、旅行者の取引の安全のために営業保証金の供託を求めています。
旅行業者は営業保証金の供託をした後でなければ営業できません。
営業保証金は、旅行業者の登録種別と、前事業年度の取引額により決められます。
新たに旅行業を始める場合、営業保証金の額は以下になります。
- 第1種 ⇒ 7,000万円
- 第2種 ⇒ 1,100万円
- 第3種 ⇒ 300万円
- 地域限定 ⇒ 15万円
営業開始後は、取引額が増えた場合は必要に応じ追加で供託をします。
3.弁済業務保証金分担額
旅行業者が旅行業協会に加入している場合、万一の場合は旅行業者に代わって旅行業協会が弁済を行います。
そのため旅行業協会に加入する場合は営業保証金の供託ではなく、旅行業協会に弁済業務保証金分担金として納付します。
弁済業務保証金分担金は、営業保証金の1/5となります。
旅行業協会は、日本旅行業協会(JATA)、全国旅行業協会(ANTA)があります。
加入の場合は、それぞれ入会金や年会費などが必要です。
旅行業登録の申請先
旅行業登録の申請先は、種別により異なります。
- 第1種 ⇒観光庁
- 第2種 ⇒主たる営業所の所在地を管轄する都道府県
- 第3種 ⇒ 主たる営業所の所在地を管轄する都道府県
- 地域限定 ⇒ 主たる営業所の所在地を管轄する都道府県
登録手数料も必要です。
- 第1種 ⇒ 90,000円
- 第2種 ⇒ 申請する都道府県により異なります。
- 第3種 ⇒ 申請する都道府県により異なります。
- 地域限定 ⇒ 申請する都道府県により異なります。
京都府に申請する場合、手数料は22,400円となります。