ハラール認証は本当に必要?

「これからはイスラム圏が注目のマーケット、ハラール認証を取れば大丈夫!」

こういった話を聞かれた方も多いのではないでしょうか?

では、ハラール認証とは何なのか、取得すれば本当にイスラム圏向けの商売ができるのか、少し書いてみたいと思います。

※今回は法学など学問分野の話ではなく、実際のビジネスの現場から見た内容となります。

そもそもハラールとは何なのか?

すでにご存知の方も多いかと思いますが、イスラームでは禁じられているもの(こと)があります。

有名なところでは豚肉やアルコールの摂取ですね。

こういった禁じられたもの(こと)は不浄なものとして扱われ、「ハラーム」と言われています。

それに対し「ハラール」とは許されたもの(こと)、つまり清浄なもの(こと)を指しています。

この「ハラーム」「ハラール」は食事のことだけでなく、ムスリム(イスラム教徒)の生活や生き方に関わる考え方です。

ハラール認証とは?

ハラール認証とは、各認証団体が「この物や施設、店舗はイスラームの教えを守って製造・管理されている」と認め、その物、施設、店舗などに認証を与えるものです。

ハラールマークとは、ハラール認証を受けた物や施設、店舗が掲げることができるマークで、認証団体によってデザインは様々です。

日本では株式会社やNPO法人、宗教法人などが認証を行っており、国や地方自治体は関与しておりません。

マレーシアなどでは国の機関が認証を行っています。

また更新手続きなどが必要で、更新時期は認証団体によって異なります。

ハラール認証は必ず必要なものなのか?

ハラール認証は必ず必要、それがあればムスリム相手の商売は大丈夫、という意見には疑問を感じています。

輸出をする場合ですと、相手国によってハラール認証の取得を求められるケースがあります。

しかしその場合も、どの認証でもよい訳ではありません。

国により取得すべき認証の指定がされていることがあります。

また製品の種類により認証が必要なものと、なくてもよいものがあります。

もともとハラールであるものであれば、そもそも認証は必要ありません。

イスラム圏への輸出を検討されているのであれば、いきなり認証を取るのではなく、まず相手国の求める基準を調べることから始めるべきです。

日本国内のみの商売ですと、必ずしも必要ではないと考えます。

食品メーカーであれば、商品によっては取得したほうが良いこともあるでしょう。

しかし飲食店などBtoCのビジネスであれば、認証がなくてもムスリムの来店はあります。

これまで一社)関西ムスリムインバウンド推進協議会の活動で様々な事業者さまのご相談に乗っていますが、ハラール認証を取得せずサービスを始めたところでも、キチンと対応をすればムスリムが来店されるようになりました。

またハラール認証を取った、ムスリム向けのサービスを作った、というだけで満足してしまうケースもあります。

ハラール認証を取ったり、ムスリム向けのサービスを開発しただけでは引き合いは来ません。

どんなビジネスでも同じですが、サービスを作ったら宣伝広告を行います。

これはハラール認証を取ったり、ムスリム向けのサービスを開発した場合も同じです。

ムスリムが来店されるようになったところは宣伝広告も継続的にされています。

ハラール認証よりも大切なこと

ハラール認証を取得しても全てのムスリムが納得して利用するかといえば、そうでもありません。

認証があっても、使われている食材や調味料などについて質問されることもあります。

認証の有無よりも、ムスリムが判断するために必要な情報をしっかりと提示することが大切です。

そのためにも、まずはイスラームについて知ることから始めてはいかがでしょう。

最近はイスラームについて易しく書かれた本も沢山出ていますし、観光庁からも資料が出ています。

知識があれば、ハラール認証を取らなくても、できることから少しづつ対応していくことができます。

ムスリムの人口は世界レベルではますます増えていくと考えられています。

人口が増えていけば、これから日本に観光に来たり、就労などで暮らすムスリムも増えていきます。

しかし対応できる店舗や製品は、まだまだ少ないです。

一人でも多くの方が関心を持っていただければ、と思います。