宿泊施設を買うときの注意点

これから新規で宿泊業に参入したい方、またすでに営業していて新たに施設を増やしたい方の中には既にある宿泊施設を購入する方も多くいらっしゃいます。

また「旅館業の営業許可付き」という触れ込みで売られている物件も目にします。

宿泊施設を購入し、営業するときに気を付けないといけないことがあります。

旅館業許可が維持できるか?

当然ですが、宿泊施設を営業するときは「旅館業許可」を取る必要があります。

許可を取らずに営業することはできません。

旅館業の営業許可付物件という触れ込みでも、物件を買ったからと言って許可まで付いてくる訳ではありません。

営業者が替わったのであれば許可も替える必要があります。

そのまま営業すると名義貸しとなってしまいます。

また以前の営業者のまま営業した場合、万一新たな営業者が問題を起こすと以前の営業者が問われることになり、大変な不利益を被る可能性があります。

承継できるケースを除き、営業者が替わる場合は新たに許可を申請しましょう。

新たに許可を取得する場合

営業許可を取れた物件であれば、購入者名義で新たに許可を取得できる可能性はあります。

しかし、その地域の条例が改正されていると許可の取得が難しい場合があります。

その物件が許可を取ったときの要件と、現状の要件が変わっている可能性が高いからです。

許可申請をするときの基準に合わせなければ許可は出ません。

手続きが増えている、といった違いであればよいのですが、構造設備の要件が変わっていると、新たな設備投資をする必要が出てくることもあります。

また営業に関して求められることが増えていると、スタッフの増員や事務所を増やす、といったことが必要となるかもしれません。

例えば京都市では平成30年に条例が改正されました。

この改正で注目すべき点はスタッフの駐在規定が設けられたことです。

また簡易宿所営業は特例として施設外玄関帳場が可能になりましたが、「施設から800m以内に事務所等を設ける」という要件が付されています。

他にも変わった点があり、施設の状況によってはトイレの増設を求められたケースもあります。

その物件がいつ許可を取ったのか、またその地域で条例の改正があったのか、この辺りの確認は必要です。

許可の承継ができる場合

相続による承継は可能です。

ただし相続が発生してから期間が経っているとできないこともあります。

またM&Aによる承継も可能です。

ただしこの場合も要件が定められていますので、事前に役所の窓口と協議する必要があります。

契約書のみでの譲渡等では許可の承継は難しく、登記にも反映されている必要があります。

なお法人で旅館業の許可を取得している場合で代表者が変わるのであれば、変更届の提出が必要ですが、新たに許可を取る必要はありません。